理解のための正道

通常新しい物事を理解するときに取る手法は
その道の先人(エキスパート)に聞くことだ
先人はその全体像を知っており
巧みな言葉を使って
初学者を理解の先に導こうとする


印刷および流通技術が発達した現代では
初学者は書籍という形でその恩恵にあずかれる


書籍を読み進めていく過程で
初学者は先人の言葉に何度も頷き
最後のページを閉じたときに
その物事のすべてを
自分の理解として獲得したと錯覚する


ところが実際にその物事に触れてみると
自分が依然として何もできないという事実に驚愕する


その新しい物事に既にアクセスできる状態にあるならば
そこにアクセスしその挙動を観察し実行してみる
その結果から湧き上がる自然な疑問こそが
真の理解への第一歩に違いない


しかし僕はそのことを直ぐに忘れてしまう
いや
これは僕だけの問題ではなくて
情報化社会におけるリスクの問題なのかもしれない