はてなは集合知だ。

3月11日の日記で「はてなには色がない」ということを書いた。その理由が、はてな近藤さんの「正しい」って何だろうにおける以下の記述から少し分かった気がする。

自分が一番知識が多いから正しいはずだ、とか、自分が一番長い時間考えたから正しいはずだ、みたいな人の話は眉に唾を塗って聞くのが良い対処法でしょう。あと、「この人の意見は必ず正しい」みたいに特定個人を神みたいに崇めるのも自分の思考が停止していて危険だと思います。「天才」とか「専門家」とか「権威ある」みたいな言葉は自分の思考にフィルターをかけるので注意が必要です。

一方で、議論の結論を導くのに必要な全体的なレベルの正しさと言うのは、「いかに多くの人の意見を代弁しているか」という事なのだと思います。「進む」ボタンは右が自然だと思う人が6割、左だと思う人が4割いるとして、もはやセオリーも常識も天才もへったくれもないわけです。6割が自然だと思うならば、結論としては右が「正しい」でしょう。

ここで言っているのは、多数決という集合知の結論ですから、「正しさのこと」ではなくて「合理性のこと」なのでしょう。しかしながらこの合理性が常に正しいとは限らない。

証券投資の世界では、株価に影響を与えるようなニュースや材料は市場参加者が多いために直ぐに株価に織り込まれてしまい、株価は常に合理的な価格にある。従って市場平均を超えるような運用成績を長期間に亘って残せる人はいないと言われている(効率的市場仮説)。しかし40年以上にも亘って年率平均20%以上の成績を残したウォーレン・バフェットのような人間が存在する。30年前のスーパー全盛の時代に、社内や社外の専門家の反対を押し切って鈴木敏文氏はセブン-イレブンを設立し、現在のようなネットワークを完成させた。

集合知からは導き出せない正しさがここにはあるのではないか。不確定なものに対する正しさは、何か信仰的な要素も無視できない。それが組織の色なのかもしれない。