バランス、そうすべてはバランスなんだ!

もしリソースが競合的なら、そのリソースが取り尽くされないように、コントロールのシステムが必要となる。つまりそのシステムは、リソースが生産されると同時に過剰消費されないように保証しなければならない。もしリソースが非競合的なら、コントロールのシステムは、単にリソースが生産されることを保証するために必要となる。=>われわれが競合リソース(土地や車やコンピュータ)のために作るコントロールのシステムは、非競合的リソース(アイディア、音楽、表現)には必ずしも適切ではない。それどころか両方のリソースに同じコントロールのシステムを適用すると、実害があるかもしれない。

技術は法と結びついていて、いまやコンテンツとその配信に対してほぼ完璧なコントロールを約束している。そしてこの完全なコントロールこそがインターネットの約束するイノベーションの可能性をつぶそうと脅かすものだ。
この脅威に対抗すべく、コントロールと創造性のバランスを再確立するために具体的な変化が必要だ。ねらいは、アーティストたちが生産を行うのに十分なインセンティブを与えるに足るだけのコントロールを持ち、一方ではなるべくフリーな部分を残してほかの人がそれを下敷きに創造できるようにするようなシステムだ。

by Lawrence Lessig ~コモンズより


本書の基本的な考え方にはほぼ全面的に同意できる
現行の知的財産法はコモンズを脅かす
確かに健全さを保つためには知的財産法が必要だと思う
一アーティストの作品はそれが物理的に独占できないからといって
公共財だというのはアンフェアだ
しかしその無断借用が全面的に悪であるとするルールは
脳を使わずに考えよと言うに等しい
だからその中間のバランスのとれたところに答えがある
ということははっきりしている


レッシグはそのバランスの取り方の一方法として
コントロールできる期間を見直すことを提案している
期間によりバランスを取る方法は曖昧さがないからその点では優れている
だけど僕はその方法にはあまり賛成できない
期間が過ぎれば自由がはっきりする
しかし、一方で期間中は権利者のコントロールは一層厳しくなるかもしれない
一体、どの権利がいつ始まっていつ終わるのかわからないような状況で
リエータはいつ、ほら穴から出てくればいいんだろう
また、確かに一旦約束された期間が延びるのはフェアではないけれども
Micky Mouseは年を取っていないということも考えなくちゃならない
それはもしかしたらDisneyのお陰なのかもしれない
つまりMickyがみんなの自由になったらMickyは死んでしまうかもしれないということだ


残念ながら有力な代替案があるわけではない
でも一つの方向性は示せる
それは柔らかい運用のためのシステムだ
Disneyの海賊版を売ってる人と
YouTubberのビデオをリミックスしてYouTubeに投稿した人
主製品を大企業にデッドコピーされたベンチャーの人と
LinuxRubyなどのオープンソースウェアにソフトウェア特許を行使する人
現行ではこれらは何れも違法であり正当な権利行使だ
でも、それってないよね
だから柔らかい運用のためのシステムが必要なんだ
つまり、その権利は相対的なものであって
誰が、誰に行使するかによってその強さが変わる
その権利や製品の社会的価値によって強さが変わる
ノブレス・オブリージュのようなものをシステムとして組み込む
もしかしたらネット上の投票システムがその役割を果たせるかもしれない
過去の判例に頼らずに自由に投稿できる仮想例示集サイトがバランスを作るかもしれない


コモンズ、そう僕らのコモンズは創造を絶するスピードで進化し
さらに僕らを誰も体験したことのない世界へ迎え入れようとしている
こんなにわくわくさせられることはなかったと思う
現在の知的財産法はみんなの期待を大きな落胆に変えるかもしれない
そのためにはこの問題のうまいバランスを探さなけりゃいけない


コモンズ

コモンズ