Googleは最終的に勝利できるのか

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060421-00000012-inet-sci


絶好調だ。しかし僕はGoogleの最終勝利を疑っている。それは彼らが扱っている商品 −もちろんサーチエンジンだ− が既にコモディティ化、すなわち一般消費者に対して差別化できないものになっているからだ。僕は確かにGoogleを使っている。だけどそれは何となくGoogleが好きだしここにGoogleがあったからだ。そこにYahoo!Windows Liveしかなければそれを使うだろう。僕が探したいものは同じように見つかるのだから。


僕はAppleが好きだ。iPodAirMac Expressも、Apple Keyboardだって持ってる。iConだって読んでいるし、白状するとスティーブ・ジョブスの祝賀スピーチ*1を読んで泣いてしまったくらいだ。だけど悲しいかなMacは使ったことがない。パソコンはずっとWindowsだ。それは今までそうせざるを得なかったからだ。僕には選択肢がなかった(これからは違うと思うけど)。Microsoftはパソコンの世界で有料ブリッジを築いてきた。僕はいやだったけど、あちら側の世界に行くためにはそこを通るしかなかった。ミッキーマウスに会うには、高い入場料を払ってディズニーランドに行くしかないのと同じことなんだ。


だけどWebの世界では、僕があちら側に行くには必ずしもGoogleブリッジを通る必要はない。Googleが1検索当り1円を僕に要求するなら迷わず僕はYahoo!ブリッジを通る。Yahoo!がダメなら別のWeb2.0ブリッジを通る。Googleがどんなすごい技術を持っているか僕には分からない。それによってGoogleは他の企業が生み出せないような利益を生み出せるのかもしれない。だけど僕は技術やパテント −それらは企業にとってはとても大事だけれども− だけで勝利した企業をほとんど知らない。レバー式蛇口を発明したマスコ・コーポレーションくらいしか知らない。


コモディティを扱う限りGoogleはデルやウォルマートにならなければならない。経営者はリモの代わりにワゴン車に、ビジネスの代わりにエコノミーに乗らなければならない。Googleがそういう企業文化を持っているのか僕には分からないけど、普通の人には難しい。


ウォーレン・バフェットは自らの航空機会社に対する投資の失敗を省みてこう語っている。

航空機の技術は人類にとっては偉大な一歩かもしれませんが、資本主義にとっては大きな後退なのです。*2

その言葉から10年経った今も航空機産業の現状は変わっていない。


WebからGoogleから僕はどれほどの驚きと恩恵を受けているのだろう。彼らは無知だった僕を少し賢くしてくれたし、僕の世界を広げてくれた。これからもそうだろう。だから彼らに感謝しているし期待している。だけど僕には彼らが資本主義の未来をほんとうに開いてくれるのかは今はまだわからないんだ。


ザ・サーチ グーグルが世界を変えた

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ウォーレン・バフェット 自分を信じるものが勝つ!―世界最高の投資家の原則 (スピークス・シリーズ)

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*1:日本語訳:http://pla-net.org/blog/archives/2005/07/post_87.html

*2:引用:ウォーレン・バフェット 自分を信じるものが勝つ! ダイヤモンド社